馬田隆明:逆説のスタートアップ思考

 

逆説のスタートアップ思考 (中公新書ラクレ)

逆説のスタートアップ思考 (中公新書ラクレ)

 

 評価:10点

 

この本は、ほぼ全ページドッグイヤーしてしまったほど、目からウロコが落ちまくりの一冊。

何度でも読み返したい。

 

・スタートアップ:短期間で急成長を目指す一時的な組織体

 →着実な成長を目指すものは「スモールビジネス」

■アイデア

・スタートアップの優れたアイデアとは不合理なアイデアである

 →「賛成する人がほとんどいない大切な真実」を選ぶ必要がある

 →ただし、ほとんどの悪く見えるアイデアは、単に悪いアイデア

 →アイデアそのものの良し悪しではなく、「なぜ今(why now)」を説明できる必要がある

・難しい課題の方が簡単

 →周囲からの支援が受けやすくなる/優秀な人材採用につながる/競合がいないマーケットに進出できる

・面倒な仕事の方が簡単

 →今はまだ面倒な仕事に着目して、それを技術などで改善できればスタートアップの有効なアイデアになる

・新しくも小さな領域を積極的に切り開いて、いち早く独占することが急成長の要諦

・スタートアップのアイデアは、考え出すものではなく気づくもの

ベンチャーキャピタルはヒットを頻度よく狙う投資ではなく、ホームランを狙うビジネス

・スタートアップの良いアイデアは、みな反直感的で、周りの理解を得難いものである。だからこそ、周りからなんと言われようと、自分が続けられるようなアイデアであるかどうか、ビジョンやミッションがあるかどうかという拠り所が必要

Googleは初めての資金調達を行うまでに350回のピッチを行なった。

 

■戦略

・勝つことではなく、「競争」を避けて「独占」すること

 →独占には「素早さ」が必要

 →小さな市場を選ぶこと:大企業は合理的判断で破壊的イノベーションに対応しない

・未来を予測するにはアイデアより、人に着目すること。新しいアイデアを持つ人たちとなるべく交流すること

・「競争は負け犬のためのもの」

先行者利益よりも「終盤を制すること」

 →Facebookは10番目に登場したSNSGoogleは13番目に生まれたサーチエンジン

・独占的にお金をもらうには、「独自の価値」を「独自のやり方」で作るという二つの条件を同時に満たすこと

・「何をしないか」を決める(ex QBハウス

・戦略は、顧客とのやり取りの中で生まれることが往々にしてある。

 →顧客との接点である製品をいち早く市場に出すことが有効

 

■プロダクト

・会社が潰れる原因は、お金の残っている間に顧客のほしい製品を作れなかったこと

 →良い製品があれば、採用・資金調達・PR全てが簡単になる

 →何よりも良い製品作りを優先する必要がある

・「人の欲しいものを作る」を念頭におく

 →顧客の意見をそのまま聞くことに加え、インサイトを汲み取る

・どうやってリスクを素早く排除していくか

 →スタートアップにとって最も重要な資源は時間

・多数の好きより「少数の愛」

 →とにかくシンプルなものを早くローンチする

 →あえて「スケールしないこと」泥臭いことを長く続けることが重要

  顧客と直接接することで、顧客からの愛を獲得し、新しいアイデアを得る

・最もきにするべき指標は成長率。そしてモメンタム(勢い)。

 一度モメンタムを失えば、驚くほど簡単に従業員の心は離れていく

・セールスも製品開発の一つと捉える

 →顧客の課題を聞く

 →スピードとフォローアップが重要

 

■運

・起業家はリスクのポートフォリオを持つ

・適切なタイミングまで待つ

・バーベル戦略:投機性の高い部分に賭けながらも、超安全に多くをかけることになる。

・運はコントロールできないが、挑戦の「回数」と「速度」はコントロールできる

 

■キャリア

・バーベル戦略を自分の時間投資に当てはめて、時間の9割は安全で堅実なキャリアに、残り1割を積極的に投機的な時間に賭ける

・もしスタートアップを始めるのであれば、できるだけ会社化を先延ばしにする

・まずは何かをはじめてみる。