池谷裕二:進化しすぎた能

 

進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)

進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)

 

 評価:9点

 

安定の池谷クオリティ。口語体なのでサクサク読めるのも良し。この人、文章のリズム感が良いんだろうな。

しかし読んでいると、どうしても脳科学仏教の「唯識思想」との関連性を思わずにはいられません。

 

・戦争があると脳科学が進歩する

→脳は様々な情報を処理する場所が局在化している

→一部の脳が破損した人の出現によって、どの場所がどの部位を司るかが分かる

神経細胞の活動は電気信号・・・脳に電気刺激を与える

→念じるだけで義手や義足を操ることができる・・・神経補綴学

・脳が心を作っている

→錯覚・・・意識ではコントロールできない

→世界は、脳の中で作られる

→「今」と感じているのは0.5秒前の世界・・・認識に0.5秒かかる

→豪速球にも対応するような野球やテニスは「上丘」が無いと成立しない、つまり「見る」ことは無意識

→脳の自発的な解釈で三次元をスムーズに感知することができる

・意識の典型が「言葉」

→人間は言葉の奴隷

→人間が抽象的なことを考えることができるのは言葉があるから

・人間は曖昧な記憶しか持てない

→不変の共通項を記憶している→汎化・・・応用するため

→特徴を抽出するためには、ゆっくり、繰り返し学習するしかない

アルツハイマーはβアミロイドが脳に溜まるために発症する病気

→βアミロイドを脳に注射することで抗体を作る治療法

・人間は、進化のプロセス自体を進化させ始めた

→優秀な精子を選ぶ、障害を排除する